令和7年度入学式 校長式辞

 校庭の桜も美しく咲く今日の佳き日に、入学式を挙行できますことを、大変うれしく思っております。また、山本PTA会長の御臨席を賜り、まことにありがとうございます。

 ただいま入学を許可しました普通科277名、商業科32名の皆さん、入学おめでとうございます。

 本校は明治32年、1899年創立の伝統ある学校であります。創立者、児嶋虎三郎、瀑御夫婦により、一人一人を大切にした愛ある教育が展開されたと伝えられています。

 本校の校訓は、この体育館右に掲げてあります「誠実 勉励 礼節」です。

 一番初めに、誠実が掲げられています。人として、まず大切な心は、真(まこと)の心です。嘘、偽りのない、真の心。吉田松陰も、真の心と志の大切さを掲げておりました。自分の成長のためには、素直な心で、他者の意見を受け止める柔軟さも必要となります。これは、校訓の「誠実」につながるものです。

 続いて「勉励」です。努めて励むこと。志をもって、自ら進んで日々、こつこつと努力することが大切です。

 本校校歌の一番の歌詞に、「永久(とわ)の真理を究めんと、見よ、向学の意気高し」とあります。真理をもとめ、日々向上心をもって勉学に励むということです。

 現在、学校教育において、主体的に学習することが求められています。日々の授業を通して、教えられる知識や技能を、皆さん一人一人が自分の興味、関心やこれまでの知識と関連付けて受け取り、そして、自分の言葉で他者に伝え、行動に移してゆくことができるようになることが大切です。その際、iPad等のICT機器も活用していくと思いますが、その基礎的リテラシーも習得していってほしいと思っています。また、何が課題になっているのか自らの力で見つけ出していくことも大切です。単なる知識はAIで解決できるかもしれません。その先の地平を切り開いていける真の知性を身につけていってください。

 また、誠意をもって物事に当たるその心を見える形にしたものが「礼節」です。挨拶や心配り、気遣いも礼節につながります。

 

 ここで皆さんに伝えたい具体的な目標が三つあります。それは自ら進んで勉強する、体を鍛える、友達をつくる、の三つであります。

 自ら進んで勉強することについては、先ほど主体的な学習者になれということでお話をしました。

 体を鍛えるとは、精神力も含めた、広い意味で考えたいと思います。夢に向かって果敢に挑戦するには、強靭な精神力と体力が要ります。皆さんのこれからの長い人生の基盤となる「体」を高校時代にぜひ作ってほしいと思います。

 今年7月には、香川県で全国高等学校総合文化祭が開催されます。せっかくの機会ですので運動部に限らず文化部にも関心をもって入部してほしいと思っています。

 また、人間は「ひとのあいだ」と書くように、人間同士の関わりの中で生活し、育ち、成長していきます。高校生活では、切磋琢磨をしながら真の友人ができたという話もよく聞きます。皆さんには、バーチャルな場面でなく、リアルな生の人間同士の息づかいの分かる関係の中で、悩みを分かち合い、喜びを二倍にする友人関係を作ってほしいと思っています。

 本校は、スーパーインパクトハイスクールであります。施設面や運動部等の戦績、進学成績にインパクトがあるということも一面でありますが、これまでの教育活動で大切にしてきた「人間力」を構成する要素として「IMPACT」を考えました。そのアルファベット一文字、一文字に願いを込め、意味を持たせました。

  IはINDEPENDENCE(自立)

  MはMORALITY(道徳性)

  PはPASSION(情熱)

  AはACTION(行動力)

  CはCOMMUNICATION(コミュニケーション力)

  TはTOUGHNESS(逞しさ)です。

 教育の大きな目標の一つは、自立した人間を育てることであります。自立とは、自分なりの考えや目標を持ち、自分の意志で判断して行動し、他者の援助が必要なときに求められることです。

 高校生活のひとこまひとこまで、皆さんと一緒に「IMPACT」にこめられたひとつひとつの意味をさらに深く考えていきたいと思っています。また、成年年齢は18歳に引き下げられています。それにふさわしい人間力をもった成人になることを目指して、充実した学校生活をおくってください。

 

 保護者の皆様、お子様の成長を温かく見守る姿勢を大切にしていただきながら、自立につながる支援を、本校の教職員とともに考えていけたらと思っております。

 私ども教職員一同、全力で、責任を持って教育に当たってまいる所存でありますので、保護者の皆様、何とぞ、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 入学式の今日が、新入生の皆さん一人一人にとって新たな「立志」となり、これからも逞しく成長することを期待して式辞とします。

                                

                                     令和7年4月8日

                                     高松中央高等学校

                                     校長 香川泰造